2012/07/04

動的平衡

以前にご紹介した(と思う)、「生物と無生物のあいだ」という本を書いた福岡伸一さんの「動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか」という本を読みました。

「生物と無生物のあいだ」を読んで分子生物学に興味を持ったものですが、今回の「動的平衡」も大変興味深い内容が盛りだくさんでした。
コラーゲン食品とってもコラーゲンとして体では吸収されないとか・・・。やっぱり・・・と思うようなことが痛快に、というか淡々と「ていうかあたりまえじゃん」といった感じで書かれていて呼んでて気持ちよかった。
そんな中、最後の方にちょっぴり感動してしまうような話が書いてありました。

それは、絶滅寸前で一頭だけになってしまった象の話なんです。
なんでも象は群れでコミュニケーションをとりながら過ごしている生き物なのだそうです。ですから、とうとう最後の一頭になってしまったと聞き、象はいったいどうしているのだろうと、ワトソンさんという方がその一頭残った象を探しにいくんです。そうすると、切り立った崖の上にその一頭がたたずんでいて、眼下に広がる大海原をじっと見つめているのを見つけたんです。
で、ワトソンさんはてっきり、一頭きりになってしまった象が孤独を感じ、じっと崖の上にたたずんでいるんだろうと思い、悲しくなったのですが、しばらくすると驚くべきことに気づいたのです。
それは、象が見つめている海の先には、シロナガスクジラが象の方を向いてたたずんでいて、どうやらその象とシロナガスクジラは意思を通じ合っているようだったからです。

これは互いに低周波で語り合っていたと書かれていますが、これを読んだとき、人間の感じる孤独感とはなんと閉塞的な感覚から生まれるものなのだろうと思いました。自然に心を開けば、周り中にさまざまな話し声があるのに気づくかもしれないのに、耳から聞こえない音、目には見えないものを感じることをやめてしまったために、むしろ自分(ヒト)の方が自ら孤独の世界を創ってしまったように感じました。

これは象とシロナガスクジラの例ですが、森や山、海など自然の中にいくと、なんか満たされたような感じになりませんか?それってこういう聞こえない、見えないものがたーくさんあって、それらに満たされてなんだか幸せで穏やかな気分になるのかもしれないなぁ、とか思いました。

感じること、感じる感覚を養うってやっぱり大事ですね。